村上ファンド 阪神電鉄株売却か タイガース上場も消滅? | わんぱくが、ワンパクにTRADE!する日記

村上ファンド 阪神電鉄株売却か タイガース上場も消滅?

村上世彰(よしあき)氏率いる投資ファンド(通称・村上ファンド)が阪神電気鉄道の筆頭株主となっている問題で、阪神と村上氏の交渉が新たな局面を迎えている。6月の株主総会に向けた株主名簿の確定が3月末に迫っているが、プロ野球・阪神タイガースの株式上場は事実上立ち消えになり、企業価値向上をめぐる協議も暗礁に乗り上げている。金融機関は、村上ファンドの株保有の解消を図って本格的な調整に動き出した。長期保有を唱えてきた村上氏も、ここにきて売却の可能性を示唆。撤退論も現実味を帯びてきた。【井出晋平、宮崎泰宏】
■阪神側はがけっぷち
 「過半数を握られたのと同じ」。阪神首脳は苦渋の表情だ。村上氏側は、阪神株を44.49%(1月25日現在)保有。村上氏側が買い増しなどで、5%余の議決権を追加することは難しくなさそう。株主総会に阪神が利益処分案や人事案件を提案しても、否決されたり、村上氏側の株主提案を強引にのまされる可能性もある。
 一方、村上氏は今月4日の講演で「10ドルの株価の時に、15ドルで買う人がいれば売らざるを得ない」と述べ、条件次第では株を手放す考えを示唆した。村上氏側は従来型の経営に批判的な世論を味方に付けてきたが、ライブドア事件の余波もあって企業買収に対する風当たりも強まっている。
■協議は進展なく
 村上氏側は大量取得後の昨年10月、阪神に対してタイガース上場やIT(情報技術)関連など約30社との協業などを提案した。両者は、実務者レベルの協議で具体策の検討を始めた。
 しかし、タイガース上場は、スポーツ紙などで反対論が沸騰。プロ野球オーナー会議でも異論が続出し、西川恭爾社長は正式に拒否。その後は「村上氏は何も言って来ない」(阪神幹部)。他の協議も進展していない。阪神は中期経営計画(06年度から5カ年)を練り直しているが、「具体的な要求はない」(阪神幹部)という。
■引受先探しが課題
 阪神側は、主幹事証券である大和証券SMBCと三井住友銀行を仲介役として村上ファンドの株保有解消に向けた交渉を進めている。また、複数の投資会社も仲介に名乗りを上げている。
 しかし、株の引き受け手探しは容易ではない。大手ディスカウントストア、ドン・キホーテによるオリジン東秀の買収問題では、ホワイトナイト(白馬の騎士)としてイオンが登場したが、阪神では高騰した株価がネックになる。
 阪神株は、村上氏の大量取得後、400円台から1000円前後に上昇した。平均取得価格は1株当たり630円程度とみられ、時価は1800億円規模に達する。「現在の株価水準は実態に比べて高すぎる。引き受け手が見つかるのか」(大手証券幹部)との見方もある。

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